カナダのオカナガンバレーにおけるワイン生産地域とワインツーリズムの展開
書誌事項
- タイトル別名
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- Wine regions and wine tourism in the Okanagan Valley, Canada
抄録
ワインツーリズムが展開するのは生産と消費が同時に行われる農村空間であり、ワインツーリズム研究には、ブドウ・ワイン産業、ツーリズム産業、ツーリスト、関係団体・組織の関与を地域の枠組みに即して考察することが必要になる。カナダのブリティッシュコロンビア州内陸部に位置するオカナガンバレーは南北アメリカでもっとも新しい主要なワイン産地で、20世紀末以降、著しい発展がみられた。カナダを代表するこの高級ワイン産地には、約160軒の多様なワイナリーが存在する。本研究は現地調査や関係資料を活用して、ワイン生産地域の特徴とワインツーリズムの展開について考察した。<br> 南北に長いオカナガンバレーは、全体としてブドウ栽培に適した自然環境を有するが、ミクロスケールの環境条件を反映して、醸造用の多様なブドウの栽培が可能である。そのため、全体として多種類のワインが生産されている。また、オカナガンバレーには、ケローナ、ペンティクトン、オソユースなどの都市が立地しており、これらの都市の人口増加は、地域内におけるワイン需要の拡大を引き起こしている。また、ブランドワインとして、オカナガンバレー産のワインは主にカナダ国内で高い評価を受けている。<br> 各種資料と現地調査によってワイナリーの設立年代、創業者の属性、営業形態、併設レストランなどを調べ、ワイナリーデータベースを作成した。その結果、地域外からの資本と人材の流入に伴って、活力に満ちたワイン産業が展開してきたことが明らかになった。<br> 詳細に見ると、オカナガンバレーのワイン生産地域とワインツーリズムには地域性が存在する。そうした地域的多様性は、3つの地域を対象とした土地利用変化の検討から明らかになる。<br> 北部に位置するケローナ地域は、オカナガンバレーのワインツーリズムのショーケースである。都市的土地利用とワイナリーの混在が観察され、有名ワイナリーや小規模ワイナリーが集中し、多様で活発なワインツーリズムを作り出している。中部に位置するペンティクトンからナラマタにかけての地域では、湖岸段丘に形成された果樹地域がブドウ栽培地域へと転換するとともに、新しい住宅地開発も進行しており、美しいワインツーリズム景観が形成されている。一方、南部のオリバーからオソユースにかけての地域を見ると、西側の伝統的な果樹地帯では新しいいワイナリーが混在する一方、東側の乾燥した傾斜地では、牧場から大規模ブドウ園・ワイナリーへと土地利用が大きく変化した。また、湖岸の別荘地開発、ファーストネーションによる大規模文化・宿泊施設・ワイナリーの経営も見られる。<br> オカナガンバレーは多様なワインツーリズム資源に恵まれる。それらは、多種類のワインの生産、ワイナリーの多様な活動、併設レストラン、宿泊施設、ワインツアー、ワイントレイルなどである。また、オカナガンバレーは、水辺のレクレーション、トレッキング、風光明媚な景観などの観光資源にも恵まれる。湖岸の別荘地開発や文化的レクレーション施設も存在する。すなわち、オカナガンバレーのさまざまな観光資源と観光活動は、ワインツーリズムの展開を促進する要因として機能してきた。
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2018s (0), 000153-, 2018
公益社団法人 日本地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564237995092992
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- NII論文ID
- 130007411937
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可