ヨルダンの都市とアカバの性格

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  • The cities in Jordan and the characteristics of Aqaba

抄録

Ⅰ.はじめに<br> ヨルダン・ハシミテ王国(以下,ヨルダン)の地域構造を理解するためには都市に着目し,ヨルダン国内の都市(群)システムや周辺国の都市との関係性を明らかにすることが求められる。そして,それら都市(群)システムを理解する基盤として,個々の都市の成り立ちや性格についても理解を深めることが必要となる。<br> 本研究ではヨルダン国内における特定の都市に焦点を当て,その都市の性格について詳述し,ヨルダンの地域構造の把握の一助とすることを目的とする。大枠の理解として,ヨルダンの都市(群)システムは首都であるアンマンを中心とするものであるが,アカバについてはやや特殊な側面があることから,本発表ではアカバの都市の性格について概観する。<br> 本研究は現地調査と統計資料や地図・空中写真等による資料分析から成る。統計資料はJordan Statistical Yearbookなどヨルダン統計局発行の紙媒体の資料,および同局HPのデータを使用し,また,地図・空中写真等は王立地理院発行の地形図,観光地図,空中写真およびGoogle Earthの画像を使用する。<br><br>Ⅱ.ヨルダンの都市<br> ヨルダンの主要都市はイスラエルとの国境に近い西部に位置するが(図1),国境がヨルダン川や死海,ワジアラバ沿いの低地に走っているのに対し,それらの都市の多くはヨルダン高原上に立地している。ヨルダンの人口(2016年:979.8万人)の多くはアンマン県(42%)やイルビド県(19%),ザルカ県(14%)のある北西部に集中し,それらの県は都市的地域の人口比率が高くなっている。また,人口分布と同様に,事業所の分布もアンマンを中心とする北東部に集中する形となっている。<br><br>Ⅲ.都市アカバの性格<br> ヨルダンの主要都市の多くが北部の高原上に位置するのに対し, 国の南端にあるアカバは低地に立地し,唯一海洋(アカバ湾)に面している。現在の都市としての骨格はあまり古くなく,1980年代の空中写真では確認できるが,1950年代には見られない。市街地の中心部の旧市街の北側には新市街があり,リゾート施設や住宅開発により,市街地はさらに拡大しつつある。<br> 主要産業は観光業であり,マリン・リゾート地として国内外から集客がある。アカバ県の人口は19.3万人(2%)に過ぎないが,ホテルなどの宿泊施設の事業所はアンマン県に次いで多く(78事業所,15%),活発な観光業や不動産開発により,「新たなドバイ」と評せられている(Russell and Cohn 2012)。近年のリゾート開発では,開発事業体としてレバノンやUAE,サウジアラビアなど近隣諸国を中心に多数の外国企業を誘引している。<br><br>付 記<br> 本研究は,平成27・28年度学術研究振興資金「ヨルダンの環境と地域構造の変化に関する地理学的研究」(代表者 長谷川 均)による成果の一部である。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564237995926912
  • NII論文ID
    130007411974
  • DOI
    10.14866/ajg.2018s.0_000139
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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