臨床家のための質的研究 (後編) : まず「問い」から始めよう

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タイトル別名
  • An introduction to qualitative research for clinicians (second volume) : What is critical is not the method, but the question
  • リンショウカ ノ タメ ノ シツテキ ケンキュウ(コウヘン)マズ 「 トイ 」 カラ ハジメヨウ

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抄録

<p> 本論文は, 本誌47巻6号 (2017年1月発行) に掲載された「招待論文 : 臨床家のための質的研究」の後編である. 前編では研究対象への向き合い方を中心に論を展開した. 後編では質的研究の問いの重要性とその立て方に着目する. まず質的研究で重要なのは方法よりも問いであることを覚えておきたい. 大量のデータを一気に扱うための解析手法が種々存在する統計調査と比べると, 質的調査の方法は原始的である. どのような名前の付いた方法であっても, それらはデータを意味別に分類する方法, あるいはデータを時系列に並べ替える方法を提示しているだけであり, データをいかに読み取るかという質的研究の本質を解説してはいない. データの読み取り方は方法ではなく, 問いに関わる部分であるからだ.</p><p> したがって本稿では, よき問いを立てるための5つのポイントを紹介する. その5つとは, (1)支援ありきの研究を脱すること, (2)予備調査を実施すること, (3)データと先行研究を相互参照すること, (4)先行研究に横たわる思想を把握すること, (5)「経験・想い・態度」研究をできる限り避けること, である. また最後に, 臨床家が卒業論文のために行った調査が最終的に原著論文として結実した研究を, 初学者の臨床家でも立てられるよき問いの実例として紹介する.</p>

収録刊行物

  • 医学教育

    医学教育 48 (2), 91-99, 2017-04-25

    日本医学教育学会

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