Amphidinium属渦鞭毛藻より単離した新規ポリケチドの構造

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  • New polyketides from dinoflagellate Amphidinium sp.

抄録

<p>1.序論</p><p> 渦鞭毛藻は特異な化学構造と顕著な生物活性を有するポリケチドを生産する重要な生物資源である.1当研究室ではAmphidinium属の渦鞭毛藻から,マクロリドのamphidinolide類や,長鎖ポリケチドのcolopsinol類やluteophanol類などを単離,構造決定してきた.2 今回演者らは,渦鞭毛藻の生産する新規生物活性天然物の探索研究の一環として,沖縄県石垣島にて新たに採取したAmphiscolops属のヒラムシの体内より分離したAmphidinium属の渦鞭毛藻の成分について精査した結果,新規化合物1〜5を,既知化合物amphidinin A (6)3,amphidinolide Q (7)4,5とともに単離し,各種スペクトルデータの解析および化学変換により,絶対配置を含めて構造を決定した.また,未帰属であった6の絶対配置をスペクトルデータの解析,化学変換,計算化学を用いて決定した.6</p><p> 1 : R = H 3 : R = H amphidinolide Q (7)</p><p> 2 : R = β-D-ribofuranosyl 4 : R = β-D-ribofuranosyl</p><p> 5 amphidinin A (6)</p><p>2.培養・分離</p><p> 2012年に沖縄県石垣島で採取したAmphiscolops属のヒラムシの体内より分離した渦鞭毛藻Amphidinium sp. (2012-7-4A株)を,Provasoliの栄養補強海水中7,25℃,16時間明期/8時間暗期の周期下で3週間静置培養し,250 Lの培地から580 gの藻体を得た.培養上清をポーラスポリマーゲルカラム (Diaion HP20, 三菱化学) に付し,水で無機物を除いた後,MeOHおよびacetoneで有機物を溶出させた.MeOH溶出画分のn-hexane可溶画分を,SiO2カラム (Wakogel C-300, 和光純薬工業),ODSカラム (Cosmosil 140 C18 OPN, ナカライテスク),ODS HPLC (Mightysil RP-18 GP, 関東化学),cholester HPLC (Cosmosil cholester, ナカライテスク)を用いて分離,精製し,新規化合物1〜5を,既知化合物のamphidinin A (6) およびamphidinolide Q (7)とともに単離した.</p><p>3.化合物1〜4の構造解析</p><p> 化合物1〜4は,いずれも光学活性な無色の油状物質として得られた.1の分子式は高分解能ESIMSよりC21H36O4であることが分かった.1の平面構造は,1H,13Cおよび各種2D NMRスペクトルの解析から,amphidinolide Q (7) の4,5-セコ体であることが明らかになった (Figure 1).</p><p>Figure 1. Selected 2D NMR correlations for compound 1 (1).</p><p> 化合物1の絶対配置は,JBCA (J-based configuration analysis) 法8により相対配置を7R*,9S*,11R*,13R*と帰属し,1の加溶媒分解により得た5〜16位部分の11位の絶対配置を改良Mosher法9により解析することで,7R,9S,11R,13Rと決定した (Figure 2).</p><p> </p><p>Figure 2. Preparation of (S)- and (R)-MTPA esters of C-5-C-16 part of compound 1 (1). ΔδHvalues [δH of (S)-MTPA ester - δH of (R)-MTPA ester] were indicated in italic.</p><p> 化合物2の分子式は高分解能ESIMSよりC26H44O8であることが分かった.2の平面構造を各種NMRデータに基づき解析した結果,2は化合物1の4位の水酸基に,ribofuranoseがβ-グリコシド結合した配糖体であることが明らかになった (Figure 3).</p><p>Figure</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564237998476928
  • NII論文ID
    130007399460
  • DOI
    10.24496/tennenyuki.56.0_poster17
  • ISSN
    24331856
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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