工程に自己相関がある場合の分散モニタリング管理図 -ブートストラップ法を用いて

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タイトル別名
  • Bootstrap Control Charts for Monitoring the Variance of Autocorrelated Processes
  • コウテイ ニ ジコ ソウカン ガ アル バアイ ノ ブンサン モニタリング カンリズ ブートストラップホウ オ モチイテ

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説明

従来の管理図では,工程が管理状態にあるとき工程からの観測値が独立であり正規分布しているという基本的な仮定をおいている.しかしながら,たとえば化学工場や薬品工場などの連続工程では,ほとんどの工程観測値は自己相関を持っている.正の自己相関を持った工程観測値に対して従来管理図を適用すると,第1種の誤り率の増加といった著しい影響を受ける.Lu and Reynoldsは,観測値が自己相関を持つ場合の工程分散のモニタリングに対する管理図として,時系列モデルの残差平方の対数を管理特性値として用いたEWMA管理図を提案している.しかしながら,Lu and Reynolds管理図の管理限界線は管理状態のときAverage Run Length(ARL)=370.4となるように設定されており,相関を持ったEWMA統計量を管理特性値としている場合は第1種類の誤り率αをねらいどおりの値にうまく管理することができない.本論文は,ブートストラップ法を利用したLu and Reynolds管理図における管理限界線の設計法を提案する.ブートストラップはEfronによって提唱されたコンピュータを利用したリサンプリング手法であり,母集団に特別な分布を仮定せずに統計量の標本分布を求めることができ,自己回帰モデルのような複雑なモデルをもつ観測値に対して大変有効である.さらに,従来の工程分散モニタリング管理図である移動範囲管理図に対してもModel Based Bootstrapを用いた管理限界線の設計を行う.ブートストラップ管理限界線の妥当性をシミュレーションにより検証する.その結果,ほとんどの場合においてブートストラップ管理限界線の第1種の誤り率は,従来管理限界線よりも理想の値に近いことが示されている.

収録刊行物

  • 品質

    品質 32 (3), 345-357, 2002-07-15

    一般社団法人 日本品質管理学会

参考文献 (22)*注記

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