規制緩和と生命保険マーケティングのイノベーション

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タイトル別名
  • Consequences of Deregulation in the Life Insurance Marketing
  • キセイ カンワ ト セイメイ ホケン マーケティング ノ イノベーション

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抄録

本稿の目的は,1990年代半ば以降の規制緩和により生命保険マーケティングにどのようなイノベーションが起きたのかについて考察することである。そこでまず,保険自由化20年を通して生命保険市場にどのような変化が生じたのかを,累積集中度とハーフィンダール・ハーシュマン指数を用いて分析し,生命保険市場が競争的になりつつあることを明らかにした。次に,規制緩和が生命保険マーケティングに及ぼした影響を以下の3つの視点から考察した。(1)大手生保では従来販売チャネルの拡大による契約高増加を図る契約高拡大至上主義のマーケティングが展開されたが,バブル崩壊後限界が生じ,顧客と長期にわたる関係性を構築・維持・強化する関係性マーケティングが展開されるようになった。そのための取組みとして,顧客囲い込み戦略である契約者単位の割引制度の導入,利便性・自在性を高めたアカウント型商品の開発,営業職員の給与体系の見直しなどがあった。(2)1990年代までは営業職員一辺倒であった販売チャネルが,営業職員,代理店,銀行窓販,通信・ネット販売と多様化が進んだ。(3)生保会社間で予定利率や予定事業費率の設定及び配当水準に相違が顕在化し,マーケティング競争手段としての価格戦略が重要度を増した。

収録刊行物

  • 保険学雑誌

    保険学雑誌 2017 (639), 639_85-639_105, 2017-12-31

    日本保険学会

参考文献 (1)*注記

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