ポリスルフィドによるカドミウムの不活性化を介した肝毒性の防御機構

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • The capture of cadmium by reactive polysulfides attenuates cadmium-induced hepatotoxicity

抄録

<p>【目的】カドミウム(Cd)は親電子性を有し、低濃度ではセンサータンパク質のシステイン残基の化学修飾を介したレドックスシグナル伝達経路の活性化を引き起こし、高濃度では非特異的なタンパク質の化学修飾により毒性を発揮する。本研究では、パースルフィドやポリスルフィドなどの活性イオウ分子が高い求核性を有することに着目し、ポリスルフィドのモデルとしてNa2S4を用いてCdによって生じるシグナル伝達経路の活性化や肝毒性に対する活性イオウ分子の役割を明らかにすることを目的とした。【結果および考察】マウス初代肝細胞において、Cdの曝露によって引き起こされたHSP70およびメタロチオネイン-I/II(MT-I/II)の誘導および細胞毒性は、Na2S4の処理によって抑制された。ESI-MSにて解析したところ、CdとNa2S4の反応生成物として、硫化カドミウム(CdS)およびチオ硫酸カドミウム(CdS2O3)がそれぞれ検出された。そこでCdSおよびCdS2O3の細胞毒性をCdCl2と比較したところ、CdSは殆ど毒性を示さず、HSP70やMT-I/IIも誘導しなかった。CdS2O3の細胞毒性はCdと殆ど変わらなかったが、CdS2O3曝露時にNa2S2O3を同時処置すると、毒性の軽減が観察された。インビボにおいて、Cd投与による肝毒性はNa2S4の処理によって抑制され、CdSの曝露では肝毒性は殆ど認められなかった。以上より、ポリスルフィドはCdによるストレス応答タンパク質の誘導や肝毒性の惹起を負に制御する働きがあることを明らかにした。一方、Cdの解毒に関しては、CdSおよびCdS2O3の生成がみられたが、前者は安定な付加体であるのに対して後者は不安定な付加体であるために、CdSが少なくともCdの不活性化に寄与することが示唆された。Akiyama M et al. Chem Res Toxicol 2017.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238005235456
  • NII論文ID
    130007432609
  • DOI
    10.14869/toxpt.45.1.0_p-104
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ