メチル水銀によるTNF-αの発現誘導に関わる転写因子の同定
書誌事項
- タイトル別名
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- Identification of transcription factors involved in the induction of TNF-α expression by methylmercury
説明
<p>【目的】我々は、メチル水銀投与マウスの脳内で炎症性サイトカインであるTNF-αの発現が誘導され、神経細胞死に関与する可能性を見出した。これまで培養細胞を用いた検討により、TNF-αの発現誘導に関わる既知の転写因子(RelA、AP-1)はメチル水銀によるTNF-αの発現誘導に関与しないことが示唆されている。そこで本研究では、プラスミド導入が容易でメチル水銀によるTNF-αの発現誘導が認められるヒト胎児腎HEK293細胞を用いて、メチル水銀による発現誘導に関わるTNF-α遺伝子のプロモーター領域を調べることでその発現誘導に関わる転写因子の同定を試みた。</p><p>【結果・考察】ルシフェラーゼ遺伝子の上流にTNF-α遺伝子のプロモーター領域を段階的に欠失させたDNA配列をそれぞれ挿入したレポータープラスミドを作製してHEK293細胞に導入した結果、転写開始点上流-1173から-900の領域がメチル水銀によるTNF-αの発現誘導に関与することが判明した。さらに、本領域中の配列を詳細に調べたところ、NF-κB結合配列が重要であることが示唆された。NF-κBは上述したRelAとp50、または、RelBとp52から構成される複合体である。そこで、RelAまたはRelBに対するsiRNAをそれぞれHEK293細胞に導入したところ、RelB発現抑制細胞においてのみメチル水銀によるTNF-αの発現誘導が著しく低下した。また、メチル水銀処理によってRelBの核移行やTNF-αプロモーターとの結合が促進された。以上のことから、メチル水銀によるTNF-α発現誘導にはRelBを構成因子とするNF-κBの活性化が関与することが明らかとなった。これまでRelBがTNF-αの発現誘導に関わるとの報告はなく、現在、メチル水銀によるRelBを介したTNF-αの発現誘導機構の詳細を解析中である。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 45.1 (0), P-64-, 2018
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238005265024
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- NII論文ID
- 130007432315
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可