食用植物に含まれる活性イオウ分子種がメチル水銀毒性を低毒性化する
書誌事項
- タイトル別名
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- Reactive sulfur species included in food plants can detoxify the toxicity of Methylmercury
抄録
<p>【目的】環境中親電子物質はタンパク質の化学修飾を介してレドックスシグナル伝達の活性化および毒性を引き起こす。先行研究において、persulfides および polysulfides は求核性が高いため親電子物質-イオウ付加体を生成することを明らかにした。例えば、per/polysulfidesは親電子性有機金属MeHgを捕獲して、反応性の低いビスMeHgサルファイド ((MeHg)2S) を形成する。そこで、本研究ではMeHgを親電子物質のモデルとして用いて、 (MeHg)2Sに変換することでMeHgを不活性化するようなper/polysulfidesがイオウ化合物を豊富に含むとされるニンニク等の食用植物中に含まれるか否か明らかにすることを目的とした。</p><p>【結果・考察】本研究では、per/polysulfides を含む食用植物としてニンニクおよびタマネギに着目した。ニンニクおよびタマネギの搾汁とMeHgとを反応させると、いずれの抽出液においても(MeHg)2Sが生成した。当該搾汁を高分子画分および低分子画分に分け、(MeHg)2Sの生成を検討すると、特にニンニク搾汁の低分子画分に、(MeHg)2Sを生成するようなper/polysulfidesが多く含まれていることが明らかとなった。そこで、ニンニク中のper/polysulfides を分離するために、ニンニク成分をヘキサン、ベンゼン、クロロホルム、酢酸エチル、メタノールおよび水で抽出し、(MeHg)2Sの生成を確認したところ、ヘキサン抽出画分が(MeHg)2Sを効率よく生成した。以上のことから、ニンニク中に含有される脂肪族炭化水素類は分子内にMeHgを低毒性代謝物である(MeHg)2Sに変換するper/polysulfides を豊富に含むことが示された。本研究成果は、環境中親電子物質とper/polysulfides を同時に摂取することで、当該物質による健康リスクを軽減することを示唆している。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 45.1 (0), P-125-, 2018
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238008232832
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- NII論文ID
- 130007432284
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可