皮膚感作性 <i>in chemico</i> 代替法DPRAとADRA -試験法の原理と課題-

DOI
  • 藤田 正晴
    富士フイルム株式会社 CSR推進部 環境・品質マネジメント部 安全性評価センター

書誌事項

タイトル別名
  • <i>In chemico</i> alternative method DPRA and ADRA for skin sensitization -principle and issues-

抄録

<p> 皮膚感作性は、化学物質の安全性評価に重要な試験項目である。皮膚感作性の評価には、主にモルモットやマウスなどの動物が用いられてきたが、動物の権利や福祉の観点から、動物を用いない試験法の開発が進んでいる。</p><p> 皮膚感作性発症の初期段階であるハプテンと生体内タンパクの結合性を評価する試験法としてDirect Peptide Reactivity Assay(DPRA)が開発され、OECD TG442C として 2015 年 2 月 5 日に採択された。DPRAは、システインとリジンを含む2種類のペプチドを求核試薬として使用し、ペプチドと被験物質との共有結合能を、未反応のペプチド量から算出して、感作性を予測する試験法である。DPRAは、化学反応のみによるin chemico試験法であり、生体組織や培養細胞を使用しないため、簡便かつ短期間で評価が可能であり、高い予測精度が期待できる試験法として広く利用されている。</p><p> しかし、使用するペプチドを高速液体クロマトグラムで分析する際、220nmの短波長での紫外線吸収を利用するため、共存する被験物質と共溶出する場合が多いこと、被験物質溶液の設定濃度が高いため、疎水性物質は、水分が多い反応液中で析出する場合が多い、等の問題点を抱えている。</p><p> これらの問題点を解決するため、弊社は、システインおよびリジンのN末端に、より長波長で高い紫外線吸収率を示すナフタレン環を導入したアミノ酸誘導体(NACおよびNAL)を化学合成し、これを求核試薬として利用するAmino acid Derivative Reactivity Assay(ADRA)を開発した。NACとNALは、281nmで高感度に検出できるため、DPRAの1/100の濃度で試験できる。そのため、共溶出や被験物質の析出がほとんど生じない。</p><p> ここでは、DPRAとADRAの原理,試験法,特徴および今後の課題について解説する。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238008269056
  • NII論文ID
    130007432420
  • DOI
    10.14869/toxpt.45.1.0_w7-2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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