胸部X線撮影後にいわゆる自然消退した肺癌の頸部リンパ節転移の1例

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  • Spontaneous regression of cervical lymph node metastasis of lung cancer after chest X-ray

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症例は51歳,男性.左頸部に8×9 cm の腫瘤を主訴に来院した.胸部X線撮影では異常所見を認めなかった.その翌日から頸部腫瘤が退縮し始め,7日後には小さな腫脹リンパ節を残してほぼ消退した.同時にCTで左肺門癌が確認された.試験摘出した頸部の腫脹リンパ節は腺癌と扁平上皮癌の成分を含んでいた.更に1週間後に頸部腫瘤は再び増大し始めたが,化学療法と放射線治療によって消失し,8ヵ月間出現しなかった.これらの治療は肺癌に対しては効果を認めず,患者は16ヵ月後に癌死した.いわゆる自然退縮した癌は原因は不明とされているが,本症例の消失した頸部腫瘤は,初診時の胸部X線撮影による少量の放射線照射が,肺癌のリンパ節転移を退縮させたものと推定した.

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