化学療法中に重篤な肺膿瘍を合併するも右肺全摘術で救命し,さらに根治的化学放射線療法に移行できた肺扁平上皮癌の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Operation for stage IV lung cancer with severe lung abscess that developed during chemotherapy

この論文をさがす

説明

<p>肺癌に対する化学療法は,感染症の合併により継続困難や致命的となることがある.われわれは,肺癌化学療法中に肺膿瘍を合併し,抗菌薬投与では改善せず,手術により感染制御できた一例を経験した.症例は64歳男性.右上葉原発のIV期非小細胞肺癌に対して化学療法中に閉塞性肺炎を発症.抗菌薬加療では改善せず肺膿瘍に進展し,膿瘍は徐々に腫大.胸腔内穿破による膿胸への移行が懸念されたため,感染制御目的に手術施行.開胸時,右上葉は胸腔内の1/2を占めるまで腫大していた.腫瘍の下葉浸潤と主気管支周囲に広汎に転移リンパ節を認め,右肺全摘を要した.術後感染徴候は改善し,術後12日目に自宅退院.術後46日目に化学放射線療法を開始.術後15ヵ月現在,外来経過観察中.今回の手術は症状緩和治療(palliative therapy)としての外科治療として位置づけられるが,感染制御のみならず,根治的化学放射線療法を可能にし,術後無増悪生存が得られている点からは広義のサルベージ手術に相当する手術であったと思われる.</p>

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (5)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ