在宅高齢女性の脚筋力および歩行能力の加齢変化

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タイトル別名
  • Age-Related Changes in Walking Ability and Leg Strength of Stay-at-home Elderly Women

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抄録

本研究の目的は在宅高齢女性の脚筋力が2年半後の歩行能力に及ぼす影響を明らかにすることであった。調査対象となった44名(80.1 ± 3.9歳→82.5 ± 3.8歳)を初回測定時の脚筋力スコアの高低により2分し,両群の2年半後の歩行の自立性を比較したところ,脚筋力スコアの高かった群は全員が歩行に杖を必要としないが,低い群においては9名が日常生活において杖を使用していた(p < 0.01)。歩行速度は,10mの直線コースにおける「普通」および「最大」の2条件で評価した。再テストに参加できた40名の2年半後の「普通」および「最大」歩行速度は,それぞれ11および16%有意に減速した(p < 0.01)。また,脚筋力スコアと歩行速度の変化率との間には有意な2次回帰の関係が認められた(普通 : r = 0.789,p < 0.01,最大 : r = 0.801,p < 0.01)。すなわち,初回測定時の脚筋力スコアの高かった群では歩行速度の変化がほとんど認められなかったのに対して,脚筋力スコアが低い群では歩行速度の低下がきわめて顕著になる関係が示された。以上の結果から,高齢女性の加齢に伴う歩行能力,特に自立性および速度の低下の程度は,以前の脚筋力の高低により異なることが示唆された。

収録刊行物

  • 理学療法学

    理学療法学 31 (7), 385-390, 2004-12-20

    日本理学療法士学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (16)*注記

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