iPS細胞からの血小板産生

  • 杉本 直志
    京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 香川大学医学部附属病院 血液内科
  • 江藤 浩之
    京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 千葉大学大学院医学研究院 イノベーション再生医学

書誌事項

タイトル別名
  • <i>Ex vivo</i> platelet production from induced pluripotent stem cells
  • iPS サイボウ カラ ノ ケッショウバン サンセイ

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抄録

<p>iPS細胞からの血小板製剤(iPS血小板)の製造は,ドナーに依存しない供給や遺伝子改変の易操作性によって,現行の血液製剤を補完・代替することが見込まれる。血小板は止血作用に必須な無核の血球成分であり,血小板輸血は重度の血小板減少に対して確立した医療となっている。しかし献血に付随する同種免疫反応,感染症などの課題は完全には解決しておらず,社会高齢化に伴う献血ドナー不足も予測されている。そこでiPS細胞からの血小板の製造開発が進められ,高増殖性の巨核球株や乱流概念に基づく新型バイオリアクター,無フィーダー培養および品質改善を可能とする新規化合物の開発により質量ともに臨床応用レベルに達している。品質ガイドライン作りも進められているiPS血小板は,造腫瘍性の懸念が低い一方で需要は大きいことから,iPS細胞医療の広範な普及の先例となり,誰もがいつでも安全な血小板輸血を受けられる将来が期待される。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 59 (10), 1905-1913, 2018

    一般社団法人 日本血液学会

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