長期経過観察が可能であった樹氷状網膜血管炎の1例

DOI
  • 河合 愛実
    北里大学大学院医療系研究科
  • 後関 利明
    北里大学大学院医療系研究科 北里大学医学部
  • 石川 均
    北里大学大学院医療系研究科 北里大学医療衛生学部
  • 庄司 信行
    北里大学大学院医療系研究科 北里大学医学部

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Frosted Branch Angiitis After Long-term Observation

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抄録

【目的】発症から11年間の経過観察が可能であった樹氷状網膜血管炎の1例を経験したので報告する.<br>【症例】初診時6歳の男児.溶連菌感染による発熱後に視力低下を自覚し当院紹介となった.視力は右眼(0.15),左眼(0.1)で,限界フリッカ値は右眼19 Hz,左眼18 Hz,ゴールドマン動的視野検査にて中心暗点を認めた.軽度虹彩炎を認める他は前眼部,中間透光体に特記すべき異常なし.両眼底に網膜血管全体の高度な白鞘化から,樹氷状網膜血管炎と診断した.MRIでは有意な所見は認めなかったが,検査所見から視神経炎の合併を疑った.入院によるステロイド療法後,炎症は軽快・消失し,視力は両眼(1.2),限界フリッカ値は右眼29 Hz,左眼30 Hzに回復,中心暗点は改善した.発症から11年間で再燃は認めなかったが眼軸延長に伴う軸性近視が生じた.<br>【結論】長期経過観察が可能であった樹氷状網膜血管炎の症例を経験した.軸性最強度近視を生じたものの再発なく予後良好であった.

収録刊行物

  • 神経眼科

    神経眼科 35 (3), 317-323, 2018-09-25

    日本神経眼科学会

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