農家家計の時間配分に対する機械化の効果

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タイトル別名
  • The Effects of Mechanization on the Time Allocation of Farm Households: A Case Study in Hokuriku, Japan
  • Effects of Mechanization on the Time Al
  • 北陸地方におけるケース・スタディ

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説明

<p> 近年,農家家計による農業労働投入,農外労働供給,家事労働,余暇需要等に関する「時間配分」の研究が盛んになってきたが,主として分析の便宜から競争的労働市場を仮定する「新古典派型農家家計モデル」が適用されることが多い.このモデルの下では,農家家計による生産編成は消費選択(労働供給)から独立し,資本制企業による生産編成と全く同様になり,分析はきわめて容易になる.しかしながら,農業労働報酬,農外労賃間の格差を容認しないし,機械化の推進は労働の増投を必然的にする等の弊害をともなう.</p> <p> 他方,農業労働報酬,農外労賃間の格差は現実に存在し,しかも,1965年から85年に至る20年間に,農家が所有する農業機械の評価額は4倍に拡大し,農家労働投入時間は65%に縮小したことを報ずる農家経済調査は,競争的労働市場を仮定する「新古典派型農家家計モデル」の妥当性をうたがわせる.したがって,本研究は農外雇用機会の制約を考慮に入れるとともに,家計内分業を考慮して家計員の性別ならびに年齢別構成を組み入れた農家家計モデルを提案し,北陸地方の農家経済調査結果に適用した分析成果を報告する.主な成果は次のとおりである.</p> <p> 1) 機械化は,農業労働投入時間ならびに家事労働をふくむ余暇時間の双方を縮小する.したがって,農外労働供給時間を拡大する.</p> <p> 2) 20歳から60歳に至る女子家計員の増加は,家事労働をふくむ男子家計員の余暇時間を縮小する. </p> <p> 3) 6歳未満の小児の増加は,男女家計員双方の農業労働時間ならびに家事労働時間をふくむ余暇時間を拡大する.したがって,農外労働供給時間を縮小する.</p> <p> 4) 農業経営面積の拡大は,農外労働供給時間を縮小する傾向をもつ.</p>

収録刊行物

  • 農業経済研究

    農業経済研究 64 (3), 119-126, 1992-12-24

    日本農業経済学会

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