化学放射線療法中の口腔粘膜炎管理を行った症例

  • 益成 美保
    岡山大学病院医療技術部歯科衛生士室
  • 水野 裕文
    ササキデンタルクリニック
  • 丸山 貴之
    岡山大学病院新医療研究開発センター
  • 横井 彩
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 小林 暉政
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野
  • 佐々木 禎子
    岡山大学病院医療技術部歯科衛生士室
  • 志茂 加代子
    岡山大学病院医療技術部歯科衛生士室
  • 三浦 留美
    岡山大学病院医療技術部歯科衛生士室
  • 水川 展吉
    岡山大学病院口腔外科(再建系)
  • 江國 大輔
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野 岡山大学歯学部先端領域研究センター
  • 森田 学
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Management of Oral Mucositis during Chemoradiotherapy: A Case Report
  • 症例報告 化学放射線療法中の口腔粘膜炎管理を行った症例
  • ショウレイ ホウコク カガク ホウシャセン リョウホウ チュウ ノ コウコウ ネンマクエン カンリ オ オコナッタ ショウレイ

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抄録

<p> 頭頸部がんに対する化学放射線療法(CRT)の有害事象である口腔粘膜炎による疼痛は,患者のQOLを低下させ,がん治療の完遂を困難にする.今回,われわれは術後CRTを受けている患者に対して口腔管理を行い,口腔粘膜炎および疼痛を制御した結果,がん治療の完遂に貢献できた症例を報告する.</p><p> 患者は67歳,男性である.右側舌がん(T2N2bM0)に対して舌可動部半側切除術,右側頸部郭清術,遊離前外側大腿皮弁による再建術を施行した.術後の病理組織検査より切除断端陽性,頸部リンパ節の節外浸潤を認めたため,術後CRT(抗がん剤:シスプラチン,5-フルオロウラシル;2クール,強度変調放射線治療60Gy)を行うこととなった.</p><p> CRT前から,口腔管理および衛生実地指導を継続して行った.CRT開始時はプラークの除去を中心とした口腔管理を行った.22Gy照射時点で口腔粘膜炎(Grade2)が発症したものの,その後軽度疼痛を認める程度で経過していた.42Gy照射時点で口腔粘膜炎の悪化(Grade3)および自発痛・接触痛を認めたため,治療完遂まで毎日,歯科衛生士がプラークの除去に加え,口腔粘膜保護を目的とした口腔管理を行った.その結果,56Gy照射時点で口腔粘膜炎は改善傾向を示し(Grade2),疼痛も緩和され,CRT完遂に至った.</p><p> 術後CRT開始直後から口腔粘膜炎の状態に応じた口腔管理を行うことで,疼痛の制御が成功し,CRTの完遂に貢献できたと考えられる.</p>

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