三島由紀夫『獅子』論

書誌事項

タイトル別名
  • A Study of Mishima Yukio's “<i>Shishi</i>”
  • ミシマ ユキオ 『 シシ 』 ロン

この論文をさがす

説明

<p>本稿は、ギリシア悲劇を翻案した三島由紀夫『獅子』(昭二三)の分析によって、昭和二三年前後の戦後文壇における三島の立ち位置、及び三島が「戯曲」というジャンルへと接近した必然性を考察した。三島における「戯曲」への傾斜は、心理といった模糊たる内面を言葉で表現する「小説」への忌避に由来している。作中人物から発せられる「肉声」のリアリティを理想化する作品の展開に、ロマン主義的な文学理念の否定という主題を見出し、現代作家として戦後文壇に乗り出した三島の文学観の変遷をたどった。また三島における「古典主義」の構えが、ラディゲを戦後作家の範と見做す、意図的な錯誤のふるまいに準拠していることを論じた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ