シンジオタクチオックポリスチレン

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  • Syndiotactic Polystyrene

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抄録

五大汎用樹脂の一つである一般的なポリスチレンは立体規則性がない,アタクチックポリスチレンである.また,スチレンの立体規則重合の研究は古く,G. Natta教授をはじめ数多くの研究者によって行われてきた.その結果,Ziegler-Natta触媒などによりアイソタクチックポリスチレン(IPS)が得られることは良く知られている.一方,高度に制御されたシンジオタクチックポリスチレン(SPS)の合成例はなかったが,筆者らは独自の均一系触媒により,世界で初めて立体規則性がほぼ100%のSPSの合成に成功した.SPSはベンゼン環が主鎖に対して規則正しく交互に配置した構造の結晶性高分子であり,その融点はIPSより40°Cも高く,270°Cである.これは,スチレンモノマーのみを用いて,ポリマー構造を精密に制御することにより耐熱性エンジニアリングプラスチックを製造する画期的な技術である.さらにSPSはIPSと異なり結晶化速度が速く,1997年に出光興産(株)により工業化された.本報ではSPS重合用触媒,重合機構,SPSの構造,物性について紹介する.

収録刊行物

  • 高分子論文集

    高分子論文集 75 (6), 527-542, 2018-11-25

    公益社団法人 高分子学会

参考文献 (55)*注記

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