腫瘍内出血との鑑別を要した小脳出血で発症した硬膜動静脈瘻の1例

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タイトル別名
  • Cerebellar hemorrhage due to dural arteriovenous fistula mimicking a hemorrhagic metastatic brain tumor: a case report

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抄録

<p>症例は75 歳男性.既往歴として,5 年前に足趾の悪性黒色腫摘出を受けているが,再発転移なく経過していた.ふらつきと歩行障害が出現したため近医を受診し,小脳失調を指摘され当院に紹介された.MRI ではT2 強調画像で出血を伴う高信号域を認めた.拡散強調画像では急性期の虚血を疑う所見はなく,同部位は造影MRI で不均一に造影された.悪性黒色腫の脳転移も鑑別に挙げ,まずステロイド治療を開始した.1 週間の経過で症状が改善しMRI 上の病変の縮小を認めた.脳血管造影検査を実施した結果,椎骨動脈後硬膜枝を流入動脈とし,下小脳虫部静脈へ皮質静脈逆流を呈する,小脳テント部硬膜動静脈瘻と診断された.病変は約3 カ月の経過観察中に自然閉塞した.びまん性の造影効果を呈する小脳半球の浮腫や小出血病変では,硬膜動静脈瘻を鑑別疾患に挙げ診療に当たる必要がある.</p>

収録刊行物

  • 脳卒中

    脳卒中 40 (6), 427-431, 2018

    一般社団法人 日本脳卒中学会

参考文献 (8)*注記

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