太平洋側北極海における海氷衰退によるプランクトン群集への影響

書誌事項

タイトル別名
  • Impact of sea-ice reduction on the plankton community in the Pacific sector of the Arctic Ocean
  • 2018年度日本海洋学会岡田賞受賞記念論文 太平洋側北極海における海氷衰退によるプランクトン群集への影響
  • 2018ネンド ニホン カイヨウ ガッカイ オカダショウ ジュショウ キネン ロンブン タイヘイヨウガワ ホッキョクカイ ニ オケル カイヒョウ スイタイ ニ ヨル プランクトン グンシュウ エ ノ エイキョウ

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抄録

<p>近年の太平洋側北極海における海氷衰退が,プランクトン群集に与える影響を評価した著者らのこれまでの研究を紹介する。太平洋側北極海におけるマイクロプランクトンおよび動物プランクトンの現存量は,海盆域と比べて陸棚域(チャクチ海)で高く,これは栄養塩豊富な太平洋水の流入に起因していると考えられた。チャクチ海の動物プランクトン群集の個体数およびバイオマスは,海氷衰退後の2007/08年には,海氷衰退前の1991/92年よりも多くなっており,海氷衰退が動物プランクトンの生産性を高めることを明らかにした。一方,北極海固有の群集は,海氷衰退後には北方に移動しており,海氷衰退が北太平洋を起源とする動物プランクトン群の優勢化に繋がることを示した。また,海盆域での動物プランクトン群集構造の季節変化は,海氷,植物プランクトンブルームおよび各々の種の生活史と関係しており,海氷衰退によって海盆域の動物プランクトン群集の季節変動が変化している可能性を示した。さらに,船上飼育実験によって太平洋産カイアシ類の産卵,ならびに一部の卵の孵化が,太平洋側北極海において可能であることを示した。</p>

収録刊行物

  • 海の研究

    海の研究 27 (6), 217-230, 2018-11-15

    日本海洋学会

参考文献 (49)*注記

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