フランス・オランド政権下の政治的代表制

  • 久邇 良子
    東京学芸大学人文社会科学系社会科学講座法学・政治学分野

書誌事項

タイトル別名
  • The Majority Representation System under the Hollande’s Administration of France
  • フランス ・ オランド セイケン カ ノ セイジテキ ダイヒョウセイ

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抄録

<p>フランス第五共和制は, 行政府優位の構造に議会主義を組み入れた独特の統治体制をとる。2012年5月に直接公選で第五共和制7代目の大統領となったフランソワ・オランドは, 大統領選の一カ月後に実施された下院選挙における社会党の大勝により, 議会多数派の支持を受けながら政権運営に着手した。しかし, 景気は低迷したまま, 失業問題も悪化し, 大統領支持率は急降下し, 第五共和制の歴代大統領の中でも最低の記録を更新した。本稿では, オランド政権下の政治的代表制の様相を, 同政権下で実施されてきた選挙結果を中心に考察する。フランスを国内外の窮状から救う有効な処方箋を提示できない政権への国民の不信感は高まるばかりで, 2014年3月の統一地方選挙を皮切りに実施された選挙全般において, 与党・社会党の敗北, 国民の不満の受け皿となった極右政党の勢力伸長, 高い棄権率といった共通の傾向が見られる。投票が, 伝統的な既成政党の政権運営に対する不信任の意思表出手段と化し, 投票率の低下で選挙の結果作り出された 「多数派」 自体の信頼性が損なわれ, 第五共和制下の政治的代表による国家の統合が機能障害を起こしている。</p>

収録刊行物

  • 年報政治学

    年報政治学 66 (2), 2_35-2_58, 2015

    日本政治学会

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