盛岡市中心部におけるイネ科植物の花粉生産量と空中飛散花粉の関係

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タイトル別名
  • Relationship between pollen production and airborne pollen dispersal for grass species in Morioka city center
  • モリオカシ チュウシンブ ニ オケル イネカ ショクブツ ノ カフン セイサンリョウ ト クウチュウ ヒサン カフン ノ カンケイ

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抄録

イネ科花粉は共通抗原性があるが,大量に飛散し飛散期間の長い花粉が当然特異的IgE抗体の陽性率も高くなる.そこで前報において,盛岡市中心部の単位面積当たりの花粉生産量を求め,草種ごとの構成割合を明らかにした.盛岡市中心部で行った植生調査において開花が確認されたイネ科植物は10草種で,開花穂数に1穂あたりの花粉数を掛け合わせて求めた花粉生産量では,カモガヤ44%,オニウシノケグサ34%,ハルガヤ11%,ナガハグサ4%,その他の草種が7%であると報告した.本報においては,草種ごとの花粉生産量の推移が空中飛散イネ科花粉数の推移とどのように関係しているかを比較検討した.空中飛散花粉数を植生調査日に合わせ集計し,植生調査日の花粉生産量の推移と比較すると,両者の推移はよく一致していた.花粉生産量から空中飛散花粉の草種を同定すると,初観測日,前開始日,飛散開始日を含む飛散初期から5月下旬まで少量の飛散が続く時期の花粉源はハルガヤで,5月下旬から6月中旬まで最高飛散日を含む飛散のピーク期の花粉源は前半がカモガヤ,後半がオニウシノケグサであった.また,イネ科花粉症患者の発症時期は,ハルガヤの花粉生産量で構成される時期に71%が発症し,盛岡市におけるイネ科花粉症の発症には,ハルガヤの花粉生産量が大きくかかわっていることが明らかになった.

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