庄内川におけるイカリムシ<I>Lernaea cyprinacea</I>の生活環における越冬宿主としてのゴクラクハゼ<I>Rhinogobius similis</I>の役割

書誌事項

タイトル別名
  • Role of paradise goby <I>Rhinogobius similis</I> as the overwintering host in the life cycle of <I>Lernaea cyprinacea</I> (Copepoda) in the Shonai River, Japan
  • 庄内川におけるイカリムシLernaea cyprinaceaの生活環における越冬宿主としてのゴクラクハゼRhinogobius similisの役割
  • ショウナイガワ ニ オケル イカリムシ Lernaea cyprinacea ノ セイカツカン ニ オケル エットウ シュクシュ ト シテ ノ ゴクラクハゼ Rhinogobius similis ノ ヤクワリ

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抄録

庄内川の8定点で採集された23魚種におけるイカリムシの寄生状況を調査した結果,寄生はアユ,ゴクラクハゼ,ギンブナおよびボラで確認された。寄生率はゴクラクハゼで最も高く,寄生率と被寄生魚の体長の間には正の相関がみられた。被寄生魚(1~2歳)の肥満度と寄生数の間には負の相関がみられた。耳石微量元素分析の結果,ゴクラクハゼには両側回遊個体と河川残留個体が認められたが,両者間に寄生率の差は無く,両側回遊個体も淡水域で越冬していることが分かった。一方,イカリムシの産卵期である高水温期に孵化したゴクラクハゼは仔稚魚のうちに寄生を受けるが,本虫の産卵期後の秋に孵化した本魚種は翌年の高水温期に寄生を受けていること,および降海した本魚種の個体は遡上後に寄生を受けていることが示唆された。庄内川におけるイカリムシの生活環において,ゴクラクハゼが本虫の越冬宿主として重要な役割を果たしていると推察される。

収録刊行物

  • 水産増殖

    水産増殖 65 (4), 347-356, 2017

    日本水産増殖学会

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