ニュータウン開発による生息環境の断片化が管住性ハチ類オオフタオビドロバチに与える影響

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タイトル別名
  • Effects of habitat fragmentation on a tube-nesting wasp, Anterhynchium fravomarginatum (Hymenoptera: Eumenidae) in newly developed urban area

抄録

これまでの研究で,里山林を造成したフラワ―タウン(兵庫県三田市)で竹筒トラップを用いて,管住性ハチ類オオフタオビの出現パターンを調べたところ,タウン内部の設置地点では周辺部と比べて本種の営巣が少ないことが示されている.しかし,その要因は分かっていない.本論文では,タウン内で本種が営巣できないような環境の悪化が起きているのか,あるいは造成による生息地の分断化が本種の出現パターンに負の影響を与えているのかを明らかにするため,本種の移植実験とネットワーク分析を行った.移植実験では,本種の前蛹を含む竹筒を余分に付け加えたトラップを設置し,出現率の違いを調べた.その結果,タウン内部の前年度に本種の出現が見られなかった地点でも移植によって出現率が有意に高くなったことから,営巣可能な環境が維持されていることが判明した.さらに,ネットワーク分析では,トラップ設置地点へのリンク構造を数値化した連結度を算出し,連結度,設置地点の周辺部からの距離,設置地点周囲の樹林地面積を要因として,タウン内部で見られたオオフタオビ出現の有無との関係を解析した.その結果,本種の出現が分断された生息場所の配置に強く影響されることが示された.これらのことから,里山林のニュータウン造成によって,オオフタオビが効率的に営巣活動をおこなえる生息環境に断片化が生じたことが,タウン内部での本種の出現パターンに大きく負の影響を与えていると考察した.

収録刊行物

  • 人と自然

    人と自然 26 (0), 9-20, 2015

    兵庫県立人と自然の博物館

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238064069888
  • NII論文ID
    130007569042
  • DOI
    10.24713/hitotoshizen.26.0_9
  • ISSN
    21854513
    09181725
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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