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- 讃岐 徹治
- 名古屋市立大学大学院医学研究科耳鼻咽喉頭頸部外科
書誌事項
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- 第119回日本耳鼻咽喉科学会総会教育セミナー 機能性発声障害の診断と治療
- ダイ119カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ キョウイク セミナー キノウセイ ハッセイ ショウガイ ノ シンダン ト チリョウ
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説明
<p> 音声障害は, 正常な声帯振動が生成できなくなるために生じるが, その原因は多岐に渡り, またその背景には年齢, 性差, 職業などさまざまな因子が関連している. 音声障害は健康に影響を与えるのみでなく, 通院治療や仕事の欠勤等により収入にも影響を及ぼし, 社会的にも経済的損失を招く.</p><p></p><p> 運動麻痺を含めた器質的異常があれば器質性発声障害と診断し, 異常がなければ機能性発声障害と診断される. 機能性発声障害の本来の概念は, 発声障害を呈し器質的な異常がない疾患のことである. しかし総説等には過緊張性発声障害, 低緊張性発声障害, 変声障害, 心因性発声障害, 痙攣性発声障害, 音声振戦などの疾患が含まれている. 喉頭ファイバー検査上で器質的な異常がなく, かつ運動麻痺がない疾患群を臨床的な意味での機能性発声障害と呼ぶことが多く, それらの疾患について診療ポイントなどを述べる.</p><p></p><p> 機能性発声障害の多くは過緊張である. 発声時に仮声帯は中央に寄り, 喉頭蓋喉頭面と披裂部の距離が短縮する. 声は粗糙性かつ努力性嗄声になる. また声を出すのに疲れるという発声困難症状が出現する. 低緊張性発声障害は, 声帯の内転運動が弱く, 発声時に声門間隙が生じる.</p><p></p><p> 心因性発声障害は, 喉頭に器質的異常がなく, かつ患者が心因的問題を抱えていることが明らかな場合に, 心因性発声障害を疑い得るとされる.</p><p></p><p> 痙攣性発声障害は, 大脳基底核や神経系統に何らかの異常によって起こる神経難病疾患の一種と考えられており, 喉頭筋の痙攣様異常運動により発声中の声の詰まりや途切れ, 震えを来す原因不明の疾患であり, 内転型, 外転型ならびに混合型に分けられる.</p><p></p><p> 音声振戦症は, 喉頭をはじめとする発声器官の諸筋に起きる振戦, すなわち律動的な相反性反復運動に起因する音声の高さ, または強さの律動的な変動によって発症する.</p>
収録刊行物
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- 日本耳鼻咽喉科学会会報
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日本耳鼻咽喉科学会会報 121 (12), 1474-1478, 2018-12-20
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238066144896
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- NII論文ID
- 130007580169
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- NII書誌ID
- AN00191551
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- ISSN
- 18830854
- 00306622
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- NDL書誌ID
- 029420952
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可