現実的モデルからの数学的架空性の創発について

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タイトル別名
  • The Emergence of Mathematical Fictionality from Real World Models

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数学の架空性は,数学が発展する上で,重要な役割を担っている。そのため,子どもが数学を学習するときに,理解できなくなる難所になることが多い。数学学習の過程において,どこでどのように架空性が生まれるのかを考察した。中学校1年生が「一次方程式」を学習する中で,「架空性」の問題が生じた事例を取り上げた。「創発モデル」の理論における「意味の連鎖」を用いて,それを分析した。その結果,「記母」が「記子」に結びつく過程,つまり記号化の過程の中で,架空性が生まれることがわかった。つまり,それぞれの記号化の中では,何らかの架空性が生じているのである。したがって,学習内容が現実的か架空的かは,本質的に個々人が,そのことを認識するかどうかに依存している。つまり,相対的なものである。また,架空性そのものが,必ずしも理解困難とは限らない。記号化が理解の助けとなることと同様に,数学的理解の助けになることもある。さらに,数学の学習において必ず現実的なモデルから始める必要はない。創発モデルは,個々の単元の中だけで,構想されるべきではない。数学の長期にわたる学習を全体論的に想定すべきである。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238066254080
  • NII論文ID
    110009498527
  • DOI
    10.24529/jasme.11.0_25
  • ISSN
    24333034
    13412620
  • 本文言語コード
    en
  • 資料種別
    journal article
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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