Inflections of <i>dā</i>, <i>pra-dā</i>, <i>pra-yam</i> and Their Suppletion in the Saddharmapuṇḍarīka-sūtra

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  • 梵文『法華経』における<i>dā</i>, <i>pra-dā</i>, <i>pra-yam</i>の活用とその補完現象について
  • Inflections of da, pra-da, pra-yam and Their Suppletion in the Saddharmapundarika-sutra

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<p>「与える」のアオリストは本来,Pāṇini II 4,77が言う如く,語根アオリストである(adāt).パーリでは,古層部分にadāが散見されるが,s-アオリストadāsiが一般的である.これは中期インド語共通の傾向で,Mahāvastuも専らadāsiを用いる.</p><p>梵文『法華経』では特徴的な現象が観察される:中央アジア・カシュガル本はadāsīt又はprādāsītを用いるが,ギルギット・ネパール伝本はほぼ一貫してadātを示す.</p><p>この現象は次のように説明できる:『法華経』祖形はadāsīt(乃至adāsi)を用いた.中央アジア伝本はこの読みを伝えるが,ネパール伝本は伝承の過程で古典サンスクリット語形adātに置き換えていった.そのためネパール伝本でadāsītを伝える箇所は写本間で一致しない,例えば:コルカタ112a5(並行はKN 250,2)と北京本p. 255,7(同,KN 302,9).</p><p>(pra-はVeda時代以来,現在語幹を担うpra-yamと補完現象を起こす.例えば『法華経』XXI巻に「陀羅尼の文句」を目的語にとるdāsyāmaḥ ... dāsyāmi ... prayacchantiの例がある.</p><p>他方カシュガル本は特徴的な語形を示す.Kashgar IV: 119b4 pradeti(~KN IV 49 dadāti)はパーリのpadetiとほぼ等しい.偈文である故,中期インド語形が保存されたものであろう.一例のみ見られるKashgar XXV: 428a7 anuprayacchīt(~KN XXIV: 446,9 dadāti sma)は,現在語幹にアオリスト語尾を付した異例形で,補完現象の原則にも反する.この言語的事実は,「観世音菩薩普門品」が他の諸章とは編集事情を異にし,異なる言語層に属することを示唆するであろう.</p>

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