FeCrAl-ODS鋼におけるα′析出の(Cr, Al)濃度依存性

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  • Change in α′Precipitation by (Cr, Al) Concentration of FeCrAl-ODS Steels during Thermal Aging

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抄録

高Cr鋼を軽水炉に適用させる場合、長時間使用による748K脆化が問題となる。高Cr鋼へのAl添加はα'(Cr リチ)相の析出を抑制するが、過剰なAl添加はFeAl規則相を生じ脆化に繋がる。我々は軽水炉用FeCrAl-ODS鋼についてα’相が析出しない最適Cr-Al濃度を調査した。Fig.1(a)は添加したCr,Al濃度に対する748K、3500h熱時効後のビッカース硬さ上昇である。α’相の析出は概ね12mass%以上のCrで始まるが、Cr添加量に従って5mass%以上の適切なAl添加を行えば、硬さの上昇が抑えられる。 Fig.1(b)は1380-2933h時効した合金のSTEM-EDSによるCr濃度分布である。15Cr-7Al-0.4Zr(単位はmass%)については同じ領域で撮影したHAADF像を掲載した。HAADF像において酸化物粒子は黒く写り、CrのSTEM-EDSマップに見られる濃淡から、α’相と酸化物粒子がほぼ同じ位置に存在することが分かる。このことから酸化物粒子-マトリクス界面はα’相析出の核生成サイトであることが示唆される。15Cr-7Alをα’析出する臨界の(Cr,Al)濃度の組み合わせとすると、それ以上のCr濃度、それ以下のAl濃度、また15Cr-7AlへのZr添加によってα’相の析出が見られた。本稿は、文部科学省からの受託事業「事故時高温条件での燃料健全性確保のためのODSフェライト鋼燃料被覆管の研究開発」における研究成果です。

収録刊行物

  • まてりあ

    まてりあ 58 (2), 88-88, 2019-02-01

    公益社団法人 日本金属学会

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