分化多能性の獲得・維持と代謝

  • 曽根 正光
    京都大学iPS細胞研究所(CiRA)未来生命科学開拓部門
  • 山本 拓也
    京都大学iPS細胞研究所(CiRA)未来生命科学開拓部門 国立研究開発法人日本医療機構,AMED-CREST

書誌事項

タイトル別名
  • Metabolism controls acquisition and maintenance of pluripotency
  • ブンカ タノウセイ ノ カクトク ・ イジ ト タイシャ

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抄録

多能性幹細胞は,がん細胞にも比類する旺盛な増殖能力を持ち,好気的解糖がそれを支えている.そのため,ミトコンドリアの酸化的リン酸化を主体としてエネルギー代謝を行う体細胞がiPS細胞へと初期化されるときには,解糖系やグルタミン代謝の活性化,ミトコンドリアの断片化など,さまざまな代謝系の変化が引き起こされる.こうした代謝様式のシフトは細胞増殖を亢進するだけではなく,エピゲノム変化に重要な役割を果たすことが明らかになってきた.また,多能性幹細胞にはナイーブ型とプライムド型と呼ばれる未分化段階の異なる二つの状態が存在し,それらの間でも代謝様式に興味深い違いがある.本稿では,分化多能性の維持と獲得に代謝がどのように関与するのかについて,近年の知見を踏まえて概観する.

収録刊行物

  • 生化学

    生化学 91 (1), 7-16, 2019-02-25

    公益社団法人日本生化学会

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