がんサバイバーシップにおける就労支援

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  • Work sustainability among Japanese cancer survivors
  • ガン サバイバーシップ ニ オケル シュウロウ シエン

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抄録

<p>労働者ががんに罹患する事例は今後益々増えていくことが予想され,がん治療と就労の両立支援は産業保健の重要課題の一つである.本稿は,日本で初めてのがん患者の就労に関する大規模コホート研究などの結果に基づいて日本のがん患者の就労支援について報告することを目的とした.がん罹患社員が病休となった場合,フルタイムで復職するまでに要する療養日数はがん全体で201日(約6ヶ月半)であり,病休日数はがんの種別で大きな差異を認めた.病休開始日から6ヶ月,12ヶ月までのフルタイム勤務での復職率はそれぞれ,47.1%,62.3%であった.復職後の5年勤務継続率は51.1%であり,復職後の再病休が復職日から2年間に集中していたことから,復職後2年間が,がん治療と就労の両立上,最も重要な時期であることが示唆された.海外のがんサバイバーシップ研究では,がん治療等による体力低下(Cancer-related Fatigue)が最大の就労阻害因子であることが指摘されており,今後,この体力低下を考慮した制度設計が必要である.治療と就労の両立支援のキーワードは,「事例性/疾病性に分けた実務対応」「利害関係の調整」であり,現在,筆者が代表の厚労科研遠藤班「がん患者の就労継続及び職場復帰に資する研究」等で実施してきた研究成果・就労支援ツールが公表されつつある.また,企業の病休・復職制度実態調査と国際共同がんサバイバーシップ研究も行っており,今後の展開が期待される.</p>

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