生薬の経験的鑑別を科学的に検証する:熟練の技をいかに継承するか?

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抄録

天然物に由来する生薬は多成分系であり,基原が同一種であっても遺伝的多様性や環境要因,生育履歴,加工方法によって品質に差が生じるために,医薬品としての規格化が容易でないことは想像に難くない.科学技術の進歩とともに,生薬の品質は,外部・内部形態による基原の確認,TLCによる化学成分の組成確認,HPLCによる指標成分の定量等により科学的に評価されるようになったが,品目内での格付けは,未だに五官(視覚,聴覚,触覚,味覚,嗅覚)に基づく経験的鑑別法によるところが大きい.しかし,生薬の格付けは共通の基準がなく,専門家の間でも見解が異なる上,格付け機会の減少による技能低下や継承不足も懸念されている.今回,生薬ゴミシを対象として,熟練の鑑別士による生薬の格付けの主要因子を解明し,品質評価カードを作成することによって,専門家と同様の格付けを未経験者にも可能にした報告がなされたので紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Zhou Y. et al., Sci. Rep., 132, 5695(2018).<br>2) Jones J., Hunter D., BMJ, 311, 376-380(1995).<br>3) 今井俊司ほか,日東洋医会誌,21, 100-103(1970).<br>4) 山路 昭ほか,病院薬学,13, 1-5(1987).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 55 (3), 252-252, 2019

    公益社団法人 日本薬学会

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