脳死下臓器提供プロセスにかかわる看護師の心理的ストレスと影響要因

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  • Factors influencing psychological stress in nurses involved with organ donation from brain-dead donors

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抄録

本研究の目的は、脳死下臓器提供プロセスにかかわる看護師の心理的ストレス反応に、個人要因、環境要因、ストレッサーやストレス認知、対処行動がどのように影響しているか明らかにすることである。脳死下臓器提供施設に勤務し、研究に協力が得られた脳死下臓器提供を経験した看護師250名を対象に質問紙調査を実施した。脳死下臓器提供を経験した看護師のもっとも高いストレッサーは、「仕事量増加」であった。対処行動では【情動中心型コーピング】より有意に【問題中心型コーピング】を行っていた。「脳死は人の死である」に賛成という価値観をもった者のほうが、反対の者より【心理的ストレス反応】が低かった。重回帰分析の結果より、【家族ケア】をストレスと感じている者は【心理的ストレス反応】が高く、【心理的ストレス反応】にもっとも影響を与えた要因は【情動中心型コーピング】であった。今回、脳死下臓器提供プロセスにかかわった看護師の心理的ストレス反応には、脳死に対する価値観、ストレッサーとしての家族ケア、情動中心型コーピングが影響していることが明らかになった。これらの結果から、脳死に対するコンセンサスを得ること、危機的状況にある患者家族の心理プロセスへの理解や危機理論の教育の必要性、適切な対処行動への支援が、脳死下臓器提供にかかわる看護師の心理的ストレス反応を軽減することに寄与すると考えられる。

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