修道院手話の疑問表現にみる文法化―ドイツ・オランダ・日本のフィールドワークから―

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タイトル別名
  • Grammaticalization of Interrogative Expression in Monastic Sign Language: A Study of Data from Fieldwork in Germany, the Netherlands and Japan
  • シュウドウインシュワ ノ ギモン ヒョウゲン ニ ミル ブンポウカ : ドイツ ・ オランダ ・ ニホン ノ フィールドワーク カラ

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抄録

<p>本稿は,厳律シトー会で使用されている修道院手話を研究対象とし,従来の修道院手話研究や言語学分野における手話研究と比較検討して,修道院手話に備わる言語的な側面と文法化について議論する.これまで修道院手話は,概して「身振りのようなもの」として理解され,社会言語学や言語学などにおいて注目されることが少なく,未だその実像は明らかにされていない.本稿ではこういった現状を踏まえ,現在でも修道院手話の使用が残るドイツ,オランダ,日本の厳律シトー会においてフィールドワークを実施した.そこで収集した発話データを分析した結果,疑問表現に関して,(a) Wh疑問文に見られるWhマーカー,(b) Yes/No疑問文に見られるQuestionマーカー,(c) Yes/No疑問文を変化させた依頼表現,という3点が観察された.(a), (b)では,疑問文にみられる文法化について検討し,(c)では,なぜ疑問表現を依頼表現に変化させるのかについて,修道士間の序列や地位といった内的な社会構造と関連付けて分析する.そして修道士が修道院手話を介して,どのように他者と関わりコミュニケーションを成立させているかについて考察をおこなう.</p>

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