根尖性歯周炎の原因歯特定における歯科用コーンビームCTの有効性の一例

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Dental Cone Beam CT is Effective in Identifying the Causative Tooth of Chronic Apical Periodontitis: A Case Report

この論文をさがす

抄録

<p> 目的 : 慢性化膿性根尖性歯周炎で, 離れた箇所に位置する瘻孔の原因歯の特定に歯科用コーンビームCT (CBCT) が有効であったので報告する.</p><p> 症例 : 45歳男性. 上顎左側側切歯と犬歯間歯肉に瘻孔が認められたことから, かかりつけ歯科医を受診した. かかりつけ歯科医で口内法エックス線撮影を行い, 犬歯根尖部周囲に透過像を認めたことから上顎左側犬歯の根尖性歯周炎と診断した. しかし髄室開拡から根管治療を開始した際, 患者が疼痛を訴えたため治療を中断した. 患者は東京歯科大学水道橋病院へ精査および治療のため紹介され, 受診した. 東京歯科大学水道橋病院にてCBCTにより精密な検査を行った結果, 上顎左側犬歯根尖口蓋側から上顎左側第一小臼歯にかけて骨欠損を認めた. 上顎左側犬歯と側切歯間の皮質骨にも吸収を認めた. それらのことから, 原因歯は上顎左側犬歯ではなく上顎左側第一小臼歯であると判断した. 根管治療には水酸化カルシウム製剤を用い, 感染の除去および洗浄・消毒を繰り返すことで瘻孔の消失を認めた.</p><p> 結論 : 今回の症例では, 患者の症状, 視診や口内法エックス線撮影だけでは原因歯の特定にはいたらなかった. しかしCBCTを用いた検査を行うことで, 簡単に正確な原因歯の特定を行うことができた. 特に慢性化膿性根尖性歯周炎の根管治療を行ううえで, CBCTを用いた検査を行うことは正確な原因歯の特定に有効であることがわかった.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ