燃焼イオンクロマトグラフィーによる炭化ケイ素粉末中のフッ素の定量

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  • Determination of Fluorine in Silicon Carbide Powder by Combustion Ion Chromatography
  • ネンショウ イオンクロマトグラフィー ニ ヨル タンカ ケイソ フンマツ チュウ ノ フッソ ノ テイリョウ

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抄録

<p>燃焼イオンクロマトグラフィーによる炭化ケイ素粉末中のフッ素分析に関して,燃焼炉の燃焼時間・温度,燃焼炉に導入するキャリヤーガス(大気,混合空気,アルゴン及び窒素)の種類,加湿ユニットによるキャリヤーガスの湿潤・乾燥条件などの各処理条件が,フッ素の定量値,炭化ケイ素の質量変化及び結晶構造にどのように影響するかについて検討した.その結果,燃焼温度: 1200℃,燃焼時間: 30分において,湿潤条件では,大気,混合空気,アルゴン及び窒素のすべての気流中で,認証標準物質であるファインセラミックス用炭化ケイ素微粉末試料(α形8001a及びβ形8002a)のフッ素の定量値は,参考値 ± 拡張不確かさ(8001a: 700 ± 160 mg kg−1,8002a: 750 ± 54 mg kg−1)内の結果が得られた.いずれの試料も大気,混合空気気流中でのフッ素の定量値は,アルゴン,窒素気流中に比べて30 mg kg−1程度低く,酸素の影響が若干認められた.一方,乾燥条件では,大気,混合空気気流中でのフッ素の定量値は参考値 ± 拡張不確かさ内であったが,アルゴン,窒素気流中でのフッ素の定量値は参考値 ± 拡張不確かさの半分程度となった.フッ素の抽出にはキャリヤーガスに含まれる酸素もしくは水分の最適化が重要であることが示唆されたが,個々の影響については,キャリヤーガスに含まれる酸素濃度や加湿ユニットの水の溶存酸素濃度の影響などさらなる検討が必要である.また,質量変化と結晶構造に関して,8001a,8002aのいずれの試料も,燃焼処理に伴い質量が増え,その質量変化の挙動は結晶構造の違いにより大きく異なっていたが,質量変化及び結晶構造変化に対するフッ素の定量値への相関は認められなかった.</p>

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 68 (4), 265-274, 2019-04-05

    公益社団法人 日本分析化学会

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