Phase Field Crystal法による垂直配向したシリンダー状ミクロ相分離構造のグレイン成長シミュレーション

  • 大野木 博
    京都工芸繊維大学バイオベースマテリアル学専攻
  • 櫻井 伸一
    京都工芸繊維大学バイオベースマテリアル学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Simulation of Grain Coarsening of Block Copolymer Cylindrical Microdomains Which Are Perpendicularly Oriented by Using the Phase Field Crystal Model
  • Phase Field Crystalホウ ニ ヨル スイチョクハイコウ シタ シリンダージョウ ミクロソウ ブンリ コウゾウ ノ グレイン セイチョウ シミュレーション

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抄録

<p>ブロック共重合体が形成する,垂直配向したシリンダー状ミクロ相分離構造のグレイン成長の特徴を明らかにするために,Phase Field Crystal法による計算機シミュレーションを行った.これにより,ブロック共重合体の無秩序状態から垂直配向シリンダーが形成され,その後期過程でグレインが成長する様子がシミュレーションできた.その結果,グレインは時間のべき乗に従って成長することがわかった(グレインサイズ~tα).その成長指数αはシミュレーションを行う際に設定したノイズ強度に依存して,α=0.16 (ノイズ0)から,ノイズを大きくするにつれてα=0.33まで増加することがわかった.シミュレーション結果に基づき,グレイン成長がどのように進行するのか,グレインの境界近傍でミクロ相分離構造の配列の組み替えがどのように起こっているのかを考察した.その結果,グレインの内部には,点状の欠陥のみならず,線状の欠陥も存在していることがわかった.また,これらの欠陥は,グレイン境界の変遷を劇的にトリガーすることもわかった.グレイン成長の特徴としては,六方格子の極度のひずみが局在化することによる皺寄せ効果と,それによる「微小グレインの過渡的発生や素早い消滅」のような現象が見られた.グレインの境界が,ミクロドメイン個々の移動によりゆっくりと移動すること,また,グレインの境界の曲率が大きい部分では,これを解消しようとするために一気にグレイン境界の組み替えが起こることもわかった.このように,グレイン成長は,グレイン境界のダイナミックな変遷によっても駆動されていることが示唆された.</p>

収録刊行物

  • 高分子論文集

    高分子論文集 76 (2), 141-149, 2019-03-25

    公益社団法人 高分子学会

参考文献 (18)*注記

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