実体的裁量行動の要因に関する実証分析

  • 山口 朋泰
    東北大学大学院経済学研究科博士後期課程(日本学術振興会)

書誌事項

タイトル別名
  • Determinants of Real Discretionary Behavior
  • ジッタイテキ サイリョウ コウドウ ノ ヨウイン ニ カンスル ジッショウ ブンセキ

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抄録

<p>本稿の目的は,経営者の実体的裁量行動に影響を与える要因を包括的に解明することである.具体的には,(1)売上操作,(2)裁量的費用の削減,(3)過剰生産という利益増加型の実体的裁量行動が,契約(①政府契約,(2)債務契約),証券市場(③成長性),利益ベンチマーク(④損失回避のインセンティブ),コーポレート・ガバナンス(⑤経営者交代,⑥経営者による株式保有,⑦金融機関による株式保有),会計的裁量行動とのトレードオフ(⑧会計上のフレキシビリティ,⑨監査の質)に影響を受けるか否かを検証する.分析の結果,上記3タイプの実体的裁量行動は,負債比率が高いほど,及び経営者交代前に増大し,規模が大きいほど減少することが示唆された.また,売上操作や過剰生産は損失回避のインセンティブによって促され,金融機関の株式保有比率が高いほど抑えられるという結果も得られた.裁量的費用の削減については,会計上のフレキシビリティが低いほど助長され,経営者持株比率が相対的に低い範囲と高い範囲では抑制傾向になり,経営者持株比率の中間範囲では促進傾向になることも示唆された.</p>

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