スーパー崩壊剤は口腔内崩壊フィルム剤の崩壊性を改善するか

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口腔内崩壊フィルム剤(ODF)は,口腔内で速やかに崩壊するフィルム状の剤形であり,第十七改正日本薬局方の第1追補に新しく収載された.ODFは小児,高齢者,嚥下困難者も容易に服用できる剤形である.主に基剤となる親水性ポリマーと可塑剤および崩壊剤といった添加剤から成る.近年,ODF中に,微粒子化した難溶性薬物を分散させることで,溶出性の改善を図った事例が報告されている.しかし,そうしたODFについて,崩壊性に関する知見は十分に得られていない.ODFの製剤設計を行う上で,良好な崩壊性を有しつつ十分な機械的強度を有する処方が要求されるが,それらはしばしばトレードオフの関係にあるため,両者のバランスを取ることは難しい.<br>スーパー崩壊剤(SDIs)は,主に口腔内崩壊錠(OD錠)に使用され,錠剤中に数%添加することで,その崩壊性が顕著に向上する.現在,クロスポピドン,クロスカルメロースナトリウム(CCS),デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)が汎用されている.<br>そこで,本稿ではSDIsをODFに添加することで,崩壊性と機械的強度の両立が可能か評価した事例について紹介する.この事例では,難溶性薬物のフェノフィブラートおよびSDIsとしてCCSまたはSSGを含むODFを調製し,崩壊性および機械的強度,更には薬物の溶出性を評価した.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Takeuchi Y. et al., Pharm. Tech. Japan, 28, 167-169(2012).<br>2) Zhang L. et al., Int. J. Pharm., 535, 462-472(2018).<br>3) Desai P. M. et al., J. Pharm. Sci., 105, 2545-2555(2016).<br>4) Zhang L. et al., J. Pharm. Sci., 107, 2107-2118(2018).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 55 (4), 349-349, 2019

    公益社団法人 日本薬学会

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