高標高域における標高傾度がカシノナガキクイムシの脱出消長と捕殺飛翔数に与える影響

  • 福沢 朋子
    東京農工大学連合農学研究科環境資源共生科学専攻
  • 新井 涼介
    北海道オホーツク総合振興局産業振興部林務課
  • 北島 博
    国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所森林昆虫研究領域
  • 所 雅彦
    国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所森林昆虫研究領域
  • 逢沢 峰昭
    宇都宮大学農学部森林科学科
  • 大久保 達弘
    宇都宮大学農学部森林科学科

書誌事項

タイトル別名
  • Seasonal Emergence and Flight Behavior of the Oak Ambrosia Beetle <i>Platypus quercivorus </i>along an Altitudinal Gradient in the High Elevation Areas
  • コウヒョウコウイキ ニ オケル ヒョウコウケイド ガ カシノナガキクイムシ ノ ダッシュツ ショウチョウ ト ホサツヒショウスウ ニ アタエル エイキョウ

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抄録

<p>カシノナガキクイムシ(以下,カシナガ)によるナラ類集団枯損被害(以下,ナラ枯れ)は標高300 m以下で多く発生するが,富山県などで標高1,000 mを超える被害が確認されているため,被害が高標高域へと拡散している可能性がある。カシナガの繁殖成功度などは標高の上昇・気温の低下と負の関係があり,今後ナラ枯れの拡大予測や予防を行う上で,高標高域におけるカシナガの脱出・飛翔に関する生態的知見は重要である。本研究では,標高傾度に沿ったカシナガ成虫の脱出消長や数,林内における飛翔数とその季節変化を明らかにすることを目的とした。2015年6~12月,2016年6~11月にかけて,標高600~1,000 mの標高100 mごとに衝突板トラップと脱出トラップを設置し,カシナガ成虫を捕殺した。本研究の結果,標高600 m以上の高標高域では低標高域に比べてカシナガの繁殖成功度は極めて低く,標高600~900 mの範囲では,標高傾度の影響はなかった。さらに標高900 m以上では,樹種組成の変化で主な寄主であるミズナラが減少する影響を受けて,飛翔成虫が極めて少ないと考えられた。</p>

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参考文献 (6)*注記

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