P-2-G01 他者との関わりが困難である重度重複障害児とのコミュニケーション手段を探る

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説明

はじめに 気管切開や難聴等から意思疎通が困難なA氏が起こす自傷行為、器物破損、激しいこだわり等の危険な問題行動に対し、統一した関わりを持つことでA氏の問題行動が改善し、今後の関わりの参考とするために取り組んだ。 事例紹介 A氏、10歳、男児、チャージ症候群、知的障害、難聴、視力障害、気管切開、強度行動障害23点 方法 以下1〜3の方法でデータ収集を実施:1.多職種チームカンファレンス 2.関わりの内容・様子を毎日記録する 3.スタッフに対し研究実施前後でアンケートを実施 以下4〜5の方法でデータ分析を実施:4.データ内容をコード化しカテゴリー抽出し質的分析する 5.アンケートはリッカート尺度を使用し量的分析する 倫理的配慮 所属施設の倫理委員会の承認を得た。 結果 多職種チームカンファレンスの意見から最重要と考えられる問題行動3点(頭突き、気管カニューレ自己抜去、胃瘻チューブ自己抜去)に絞り写真カードを作成、A氏の反応を評価する指標とスタッフの感情を伝える目的で表情カードを作成し一緒に活用した。その結果、問題行動は徐々に減少し強度行動障害評価は23点が11点に減少した。 考察 関わるスタッフを固定し写真・表情カードを使用する等の統一した関わりにより内容を理解した行動が見られ、スタッフもA氏の困ったサインに気付き対応できた。A氏の生活のニーズに沿った写真カードを視覚化したことで安心感を与えた。スキンシップを多くとる、叱る等の母親の役割を担った関わりで満足感や信頼関係が生まれ、スタッフの感情が伝わりやすくなった。A氏の感情に触れる機会にもなり表情カードはコミュニケーション手段として有効であった。また問題行動への指導に偏らず遊びや気分転換を図ったことも問題行動の減少に影響を及ぼした。 結論 危険な問題行動を起こす児に対し統一した関わりを持つことは問題行動の改善に効果があり、写真・表情カードはコミュニケーション手段となり得た。

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