1899年8月15日の台風による鹿児島の強風と災害

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タイトル別名
  • Strong winds and disaster in Kagoshima due to a typhoon on 15 August 1899

抄録

1899年8月15日未明,鹿児島県を台風が通り,鹿児島測候所で最大風速49.6m/sが観測された.これは明治時代に本土の平地で観測された最大風速としては1位の値であり,この強風により県内で1万6千戸の住家が全潰した.しかし,この台風については近年の資料にほとんど記載がなく,49.6m/sという最大風速も今の気象庁ホームページには載っていない.本発表では当時の資料を利用し,台風とそれによる災害について紹介する.<br><br>資料として,「中央気象台月報」や各測候所の原簿を利用した.また,鹿児島の気象状況や県内の被害については坪川辰雄(1899; 風俗画報197号)の記事があり,鹿児島の気圧と風の毎時値が掲載されている.当時の鹿児島測候所は,現在の気象台の北約6kmの高台(海抜約120m)にあった.<br>各種資料から推定すると,台風は鹿児島県北西部へ上陸し,35km/hぐらいの速さで北東へ進んだと考えられる.鹿児島県の死者は113人,住家全潰は16125戸であった.全潰率は南西部の川辺郡・揖宿郡から北部の姶良郡にかけての帯状の地域で10%を超え,その南東側と北西側の各郡は5%未満だった.この分布から,強風は県の南西部~北部の幅数十kmの地域に集中したことがうかがえる.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238097677184
  • NII論文ID
    130007628447
  • DOI
    10.14866/ajg.2019s.0_148
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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