P-079 当院内科病棟患者に対して、バランス練習を取り入れたことによりSPPB 得点上昇に有効であった症例

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抄録

<p>【目的】</p><p>先行文献において, 下肢筋力は4 m歩行、椅子からの立ち上がりテストと有意な相関があると述べられているが、バランス練習に関する報告は少ない。今回、当院内科病棟患者に対しバランス練習を取り入れたことで、Short Physical Performance Battery(以下SPPB)得点上昇に有効であった症例を経験したため報告する。</p><p>【説明と同意】</p><p>本人に本報告内容を説明し、書面にて同意を得た。</p><p>【症例紹介】</p><p>80 歳代男性、身長158.0 cm、体重53.2 kg、BMI21.3。入院前ADL:要介護1、屋内つたい歩きレベル。診断名:尿路感染症。既往歴:前立腺肥大症、2型糖尿病(治療自己中断)。検査値:白血球数12820 μ/l、CRP19.6mg/dl。</p><p>【理学療法初回評価】</p><p>運動機能はMMT 両上下肢ともに4レベル、関節可動域は両側膝伸展制限-5 度、感覚障害は両側足底表在感覚鈍麻、SPPB4 点(バランステスト2 点、歩行テスト1点、椅子立ち上がりテスト1点)、基本動作は、立位・移乗見守りレベル。</p><p>MMSE17/30 点。BI20 点(加点項目:食事、移乗)であった。</p><p>【経過】</p><p>入院後1 日目より解熱、3 日目より理学療法開始、4 日目にSPPB 実施。6 日目炎症反応ピークアウト。通常理学療法に加え、バランス練習として前後開脚状態での屈伸運動を左右10 回ずつ実施。入院1・2 週間後と再度SPPB を実施したところ、どちらも合計6 点と上昇。また、BI も55 点(加点項目:食事、移乗、トイレ、移動、更衣、排尿・便)と上昇した。</p><p>【考察】</p><p>本症例では、通常理学療法に加えバランス練習を取り入れたことでSPPB 得点上昇に有効であった。バランス練習を取り入れたことで、側方方向への安定性が向上したと同時に股・足関節周囲の筋出力向上が得られたと考えられる。内科病棟患者における理学療法では、ADL 低下予防、在院日数の減少、生命予後の改善といった多くの目的が掲げられている。その中で安全性・利便性・正確性のあるSPPB を継続して評価していくことは有用であると考えられる。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238099006848
  • NII論文ID
    130007623565
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.36.0_179
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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