O-051 間質性肺炎患者に対する呼吸リハビリテーション―胸郭可動域訓練による歩行時呼吸困難の改善―

DOI
  • 中原 亮
    IMS グループ 東戸塚記念病院 リハビリテーション科
  • 鈴木 康平
    IMS グループ 東戸塚記念病院 リハビリテーション科

抄録

<p>【はじめに】</p><p>呼吸リハビリテーションにおける胸郭可動域訓練は,胸郭拡張差や肺活量の向上が期待される.先行文献では健常者やCOPD 患者に対する胸郭可動域訓練により胸郭拡張差や肺活量の向上が報告されているが,間質性肺炎( 以下,IP) 患者に対する報告は少ない.今回,歩行時に呼吸困難が認められたIP 患者に対し,胸郭可動域訓練を実施した結果,胸郭拡張差が向上し訓練継続に伴い歩行時呼吸困難の改善,自宅退院が可能になった為,報告する.</p><p>【対象】</p><p>78 歳男性.入院時より酸素2L 開始.第3 病日より訓練開始.第8 病日より酸素1L へ変更.第13 病日より酸素終了し,第18 病日に自宅退院となる.</p><p>【評価】</p><p>第4 病日に実施.SpO2:安静時97%( 酸素2L),歩行後91%( 酸素2L),修正Borg スケール:安静時2,歩行後4,胸郭拡張差:腋窩部1.0cm,剣状突起部1.5cm,第10 肋骨部2.5cm, 6 分間歩行:実施困難.46m にて中断.</p><p>【治療】</p><p>第5 病日より上部・下部胸郭に胸郭可動域訓練を実施.【結果】</p><p>第17 病日に実施.SpO2:安静時98%( 大気下),歩行後95%( 大気下),修正Borg スケール:安静時0,歩行後1,胸郭拡張差:腋窩部1.5cm,剣状突起部2.5cm,第10 肋骨部3.0cm,6 分間歩行:300m.</p><p>【考察】</p><p>千葉らは,胸部mobilization は肋椎関節周囲の筋スパズム低下と肋椎関節,椎間関節への回転および滑りを円滑にすることで胸郭拡張が得られると述べている.また,松本らはI P 患者の6 分間歩行距離には呼吸困難感が強く影響を及ぼすと報告している.今回,対象者に胸郭可動域訓練を実施した結果,胸郭拡張差の向上が認められた.今回の結果よりIP 患者に対する胸郭可動域訓練は,先行文献と同様に胸郭拡張差や肺活量を向上させることが示唆され,本対象者においては,胸郭拡張差や肺活量の増加により呼吸困難感が軽減し歩行距離が延長したと考察した.</p><p>【倫理的配慮】</p><p>対象者に対し,ヘルシンキ宣言に則り書面にて説明を行い,同意を得た.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238099024640
  • NII論文ID
    130007623778
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.36.0_51
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ