先天性喉頭閉鎖症9例の治療経験

  • 正畠 和典
    大阪府立病院機構大阪母子医療センター小児外科
  • 東堂 まりえ
    大阪府立病院機構大阪母子医療センター小児外科
  • 岩崎 駿
    大阪府立病院機構大阪母子医療センター小児外科
  • 安部 孝俊
    大阪府立病院機構大阪母子医療センター小児外科
  • 山道 拓
    大阪府立病院機構大阪母子医療センター小児外科
  • 村上 紫津
    大阪府立病院機構大阪母子医療センター小児外科
  • 曹 英樹
    大阪府立病院機構大阪母子医療センター小児外科
  • 奥山 宏臣
    大阪大学大学院医学系研究科小児成育外科
  • 臼井 規朗
    大阪府立病院機構大阪母子医療センター小児外科

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical Outcomes of Nine Patients With Congenital Laryngeal Atresia
  • センテンセイ コウトウ ヘイサショウ 9レイ ノ チリョウ ケイケン

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抄録

<p>【目的】先天性喉頭閉鎖症(以下,本症)は,出生直後から上気道閉塞症状をきたし,致死的な経過をたどる予後不良な疾患である.本症の治療経験から,本症の治療成績と問題点について検討した.</p><p>【方法】1982年から2017年までの35年間に当院と関連施設で経験した本症9例を対象とした.各症例の臨床的背景,出生前画像診断,周産期経過,出生後の治療経過,転帰などにつき,診療録に基づいて後方視的に検討した.</p><p>【結果】本症9例のうち7例に胎児腹水を認めており,7例中5例は中央値在胎21週時にCHAOS(congenital high airway obstruction syndrome)として出生前診断された.CHAOSとして出生前診断されていた5例のうち,心不全の悪化により子宮内胎児死亡した1例を除く4例に対して,出生時の気道確保のため,ex utero intrapartum treatment(EXIT)による気管切開を施行した.EXIT下に気管切開した全例が出生時に救命され,母体にも合併症は認めなかった.CHAOSとして出生前診断されていなかった4例中3例は出生直後に気管切開で気道確保を行ったが,食道閉鎖症を合併した症例のみが救命され生存退院した.出生した症例の在胎週数の中央値は37週,出生体重の中央値は2,015 gで,5例に本症以外の先天異常の合併を認めた.生存退院できた4例のうち,他の先天異常を伴わない2例と食道閉鎖症を合併した1例が人工呼吸器から離脱して長期生存した.</p><p>【結論】本症のうちCHAOSとして出生前診断された症例に対して,EXIT下の気管切開は児を救命する有効な治療法であった.</p>

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