卵管留水腫に対する腹腔鏡下卵管切除術前後の卵巣機能と術後妊娠率

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タイトル別名
  • Ovarian function and postoperative pregnancy rate before and after laparoscopic fallopian tube resection
  • ランカンリュウスイシュ ニ タイスル フククウキョウ カランカン セツジョ ジュツゼン ゴ ノ ランソウ キノウ ト ジュツゴ ニンシンリツ

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説明

<p>卵管留水腫が体外受精の妊娠率を低下させるという報告があり,外科的治療の1つとして卵管切除術がある.そして,この卵管切除術の卵巣機能への影響についてはコンセンサスが得られていない.今回,挙児希望のある卵管留水腫の症例に腹腔鏡下卵管切除術を行い,卵巣機能や妊娠率を検討した.2012年8月から2016年12月に挙児希望のある卵管留水腫症例29例に腹腔鏡下卵管切除術を行った.29症例中6例は卵巣に内膜症病巣を認めたため今回の検討から除外し,卵管切除術のみを施行した23例で検討を行った(うち両側:8例,片側:15例).子宮筋腫核出術例(35例)をコントロールとして,それぞれ術前,術後の月経2-5日目に血中AMH値を測定し,妊娠率についても比較検討した.腹腔鏡下卵管切除術を施行した群と腹腔鏡下子宮筋腫核出術を施行した群のそれぞれの平均年齢は36.1±3.7歳,36.2±3.5歳で有意な差は認めなかった.子宮筋腫核出術群において,血中AMH値は術前4.21(2.07-4.90)ng/ml,術後3.81(2.68-4.95)ng/mlと有意な差は認めず,卵管切除術群における血中AMH値も術前3.94(1.22-4.62)ng/ml,術後3.05(0.59-4.54)ng/mlと有意差は認めなかったことから,卵管切除術は卵巣機能を低下させないことが示唆された.卵管切除術を施行した23例中20例が経過観察可能で,10例(43.5%)が妊娠した.妊娠した10例中7例は生殖補助医療で妊娠し,3例は生殖補助医療以外であった.術後妊娠成立までの期間は8.0±7.3カ月であった.卵管留水腫に対する腹腔鏡下卵管切除術は術後卵巣機能を低下させないことが示され,術後妊娠率も高く,有用性が示された.〔産婦の進歩71(2):67-73,2019(令和元年5月)〕</p>

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