ユーカリ植林木の高白色度メカニカルパルプ製造技術

書誌事項

タイトル別名
  • High Brightness Mechanical Pulp from Eucalyptus Planted Trees
  • ユーカリショクリンボク ノ コウハクショクド メカニカルパルプ セイゾウ ギジュツ

この論文をさがす

説明

<p>広葉樹は針葉樹に比べて繊維長が短く強度は低いが,シートの空隙は均一で印刷適性が優れている。広葉樹から機械パルプを製造しBKP(晒クラフトパルプ)の代替として印刷・情報用紙に使用する場合,嵩や不透明度は高いが白色度が低い。従って,如何にして白色度の高いパルプを製造するかが広葉樹機械パルプ利用拡大の鍵になる。本研究では,BKPの原料として日本に大量に輸入されているユーカリグロビュラス植林木チップから,高白色度の機械パルプを製造する技術を確立するためにパイロットテストを行った。その結果,アルカリ過酸化水素溶液でチップを前処理するAPTMP法(アルカリ過酸化水素サーモメカニカルパルプ)とAPMP法(アルカリ過酸化水素機械パルプ)は従来のCTMP法(ケミサーモメカニカルパルプ)よりも摩砕電力が減少し,嵩高で比散乱係数の高いシートを形成した。アスペンAPMPの白色度80%に対し,ユーカリグロビュラスAPMPの白色度は87%まで上昇し,光学特性が高く嵩高なパルプを低エネルギーで製造することができた。そのメカニズムは,アルカリ過酸化水素とキレート剤を添加してチップを浸透装置で圧縮すると木材組織が部分的に破壊されて磨砕しやすくなるとともに,鉄などの重金属がキレート剤に捕捉され,漂白阻害物質がアルカリに溶解して系外に排出され,漂白効率が向上して高白色度まで漂白できたと考えられる。アスペンチップは白色度が高く,漂白しやすいため機械パルプ原料として広く利用されているが,難漂白性で機械パルプに不向きとされているユーカリからアスペンを上回る高白色度のパルプが得られたことは大きな成果であった。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 73 (4), 328-333, 2019

    紙パルプ技術協会

参考文献 (2)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ