障壁を超えて:パラリンピックにおけるアメリカ人女性の歴史

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  • Breaking Barriers: A History of US Women in the Paralympics

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抄録

女性パラリンピアンの増加,女性がコーチ,その他の指導的立場に就く機会拡大のために,過去数十年間で,いくつかの注目すべき取り組みが行われてきた。しかしながら,パラリンピックにおける全体的な変化の速度は,依然として非常に緩慢であり,オリンピックよりも遅い。<br><br> オリンピック競技における女性アスリートの包摂の歴史に関する研究を基に,この論文では,米国人女性パラリンピアンが直面した大きな課題に加えて,彼女たちが過去半世紀以上に亘りもたらした多大なる功績,パラリンピックにおける完全な平等の担保を妨げる多くの構造的な問題について論じる。例えば,女性アスリートは様々なレベル(アマチュアからプロに至るまで)での参加の機会や,コーチや尊敬できるロールモデルの数も少ない。また成長過程においても,男性と同じようなスポーツ参加は奨励されていないことが多い。それに加え,意義深い職業を見つける際にも,男性障がい者以上に苦労することが多い。ゆえに,彼女たちは,エリートアスリートとして,自身を支えるに必要な物質的資源も持っていないと言えるだろう。<br><br> 米国においては,パラリンピック大会報道がメインストリーム化されるにあたって未解決の課題が横たわっており,それは,米国人女性パラリンピアンが次世代の障がい者アスリートに与える全般的な影響を弱めている。国際パラリンピック委員会(IPC)とアメリカパラリンピック委員会は,女性パラリンピアンに対して平等とインクルージョンを約束してきたが,この約束が現在も守られていないことは,米国人女性の参加者数によって示されている。米国のパラリンピック選手団において女性アスリートの割合が50%以上になったことがないにも拘わらず,直前の夏季および冬季パラリンピック大会において,メダル獲得という視点から最も大きな成功を収めたのは女性だった。本論文では,こうした矛盾について検証し,平等を妨げる構造的障がいを今後克服していく方法について考察する。

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