レーザーキャプチャーマイクロダイセクション法および質量分析法を組み合わせた,病理組織の微小環境におけるバイオ医薬品の局在解析および定量法
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- 野中 聖子
- ファイザー 非臨床開発研究部
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- Benjamin WEI
- ファイザー
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- Shakey QUAZI
- ファイザー
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- Dawn DUFIELD
- ファイザー
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- Karen PERCIVAL
- ファイザー
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- Shawn O’NEIL
- ファイザー
書誌事項
- タイトル別名
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- Combined laser capture microdissection and mass spectrometry (LCM-MS) to identify, localize and quantify biologics in specific anatomic microenvironments
抄録
<p>バイオ医薬品は今日承認されている薬剤の約30%を占め,幅広い疾患領域の治療に用いられている。バイオ医薬品は高いターゲット特異性を有することから,低分子医薬品と比較して一般的に安全性への懸念は少ないと考えられている。しかしながら,いくつかのバイオ医薬品の非臨床試験では毒性が報告されており,これらの毒性の発現機序については明確にされていない部分も多い。</p><p>バイオ医薬品による毒性発現機序を理解するための重要な第一ステップとして,被験物質の組織内分布と病理所見の分布が一致しているか否かを評価する必要がある。適切な抗体がある場合には,被験物質の組織内分布は免疫組織化学法(IHC)により評価可能だが,新規のバイオ医薬品に対する適切なIHC抗体が得られるケースはまれである。組織ホモジネート中の対象タンパク質は液体クロマトグラフィー質量分析法によりフェムトモルオーダーで検出可能だが,病理組織標本における被験物質またはその代謝物の局在を直接的に評価することはできない。</p><p>カニクイザルを用いた9ヵ月間毒性試験において,バイオ医薬品であるモノクローナル抗体Yをサルに投与したところ,抗薬物抗体のみられなかった38例中23例で糸球体腎炎が認められた。糸球体腎炎の認められたサルでは,電子顕微鏡を用いた超微細構造解析において糸球体内に高子電密度沈着物が認められ,免疫複合体腎炎の可能性が示唆された。モノクローナル抗体Yに対する適切なIHC抗体がないため,糸球体腎炎のみられたサルにおける被験物質の糸球体への局在をIHCにより調べることはできなかった。そこで,バイオ医薬品のモデルとしてモノクローナル抗体Yを用い,レーザーキャプチャーマイクロダイセクション法および質量分析法を組み合わせ,病理組織の微小環境におけるバイオ医薬品の局在解析および定量的プロテオミクス解析を行った。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 46.1 (0), P-163-, 2019
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238106042368
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- NII論文ID
- 130007677365
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可