メチル水銀によるオンコスタチンM発現誘導機構

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タイトル別名
  • A mechanism involved in the induction of oncostatin M by methylmercury

説明

<p>【目的】我々は、メチル水銀を投与したマウスの脳内で炎症性サイトカインの一種であるオンコスタチンM(OSM)の発現が誘導されることを見出した。また、種々の培養細胞においてもメチル水銀によるOSMの発現誘導が認められ、また、OSM発現抑制細胞が示すメチル水銀耐性獲得が培地にリコンビナントOSMを添加することによって認められなくなったことから、メチル水銀によって発現誘導されたOSMが細胞外に放出された後に細胞膜上に存在する受容体に結合することで細胞死を誘導する可能性が示唆されている。本研究では、遺伝子操作が容易なヒト胎児腎臓由来のHEK293細胞を用いてメチル水銀によるOSM発現誘導機構の解明を目指した。</p><p>【結果・考察】HEK293細胞をメチル水銀で処理するとOSMの発現誘導が認められ、この発現誘導は転写阻害剤であるアクチノマイシンの前処理によって著しく低下した。このことは、メチル水銀はOSM遺伝子の転写促進を介してその発現を誘導していることを示している。OSM遺伝子の転写促進には転写因子としてAP-1、NF-κB、CREBおよびSTAT3が関与することが知られている。そこで、これらの転写因子の発現をそれぞれ異なる2種類のsiRNAにより抑制したところ、AP-1構成因子であるc-Junの発現抑制によってのみ、メチル水銀によるOSM発現誘導能が低下した。また、メチル水銀処理によってc-Junの活性化を示すリン酸化レベル、および、そのリン酸化に関わるc-Jun kinase (JNK)のリン酸化レベルがともに増加した。さらに、JNK阻害剤の前処理によってメチル水銀によるc-Junのリン酸化およびOSM発現誘導の程度がともに抑制された。以上のことから、メチル水銀はJNKによるc-Junの活性化を介してOSMの発現を誘導していることが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238106043904
  • NII論文ID
    130007677372
  • DOI
    10.14869/toxpt.46.1.0_p-196
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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